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vol-63
本のタイトル: むくどりのゆめ 浜田廣介/作 いもとようこ/絵 白泉社 対象年齢 : 5歳から100歳まで 浜田廣介は、日本の幼年童話の創始者と言われています。 作品は、「ひろすけ童話」と呼ばれ、親しまれてきました。 「ひろすけ童話」は、独特な語り口の、流れるような文章で 素朴で簡素な表現でありながら、情景がありありと浮かんできます。 小学生の頃に読んだ、「泣いた赤鬼」や「竜の目のなみだ」 は、今でも忘れず覚えています。 「ひろすけ童話」を通して、情愛や孤独といった精神世界を 経験でき、教えられたように思います。 この「むくどりのゆめ」は、この世にいなくなった母さん鳥の帰りを 今か今かと待つこどもの鳥と、あたたかく見守る父さん鳥の話です。 父さん鳥が、子どもの鳥を、つくづくとみつめるというくだりがあります。 父さん鳥が、その時何を思ったのかは、はっきりと書いてありませんので 読者が推し量らなければなりません。 が、たとえ、心の奥底をのぞきこんだとしても理解のできない、 深い深い思いがあるように感じとれます。 そして、人の世には、はっきりと形にできないもの、 言い表せないものが、たくさんあるように思えてくるのです。 はり絵で描かれた、やさしい風合いと淡い色彩の、 いもとようこさんの絵からは、暖かさが伝わってきます。 「ひろすけ童話」の絵本は、白泉社のいもとようこ作品と 他に、集英社から、「ひろすけ童話絵本」が、数冊出ています。 どれか気になる作品がありましたら、ぜひ読んでみてください。 (終わり) |