■■■ baby03  ふゆめがっしょうだん ■■■




vol-58
   本のタイトル: ふゆめ がっしょうだん (かがくのとも傑作集) ふゆめ がっしょうだん (かがくのとも傑作集)
   冨成忠夫、茂木透/写真
   長新太/文
   福音館書店
   対象年齢 : 5歳から100歳まで



   木を見ると、木に向かって語りかけたくなります。
   木は言葉は発しないのですが、すっーと爽やかな空気を送ってくれて
   何かを答えているような気がします。

   先日、阿蘇一の宮の「国造神社」で、「手野の大杉」という樹齢800年の
   巨木を見たのですが、平成3年の台風で折れて枯れてしまったそうで
   今は、ご神木となって、保存会の方々の手で、大切に保存されていました。
   枯れてしまった木は、神々しいけれども、何も語ってはくれませんでした。
   冬枯れた風景の中、淋しい気持ちになりました。

   「ふゆめがっしょうだん」は、春になってこれから芽吹く冬芽たちの
   楽しい絵本です。
   えのきやさんごじゅ、くずなど24種類の木の冬芽が、
   拡大写真で、1ページ毎に登場します。

   うさぎやインディアンや王様のように見える冬芽の顔たちが、
   笑って、こちらをみつめています。
   どの冬芽も、「わたしを見て」と、歌っています。
   「パッパッパッパッ」とあずさの冬芽が元気に相の手を入れます。

   長新太さんには、冬芽の歌が聞こえたのでしょうか。
   「春がくれば、もっときれいになるよ」
   冬芽たちが、凍りつくような森の空気の中で歌う声が
   今にも聞こえてきそうです。

   人は木に魅せられます。
   それは、木が冬枯れの後、芽吹く力をみせてくれるからだと
   思います。
   芽吹くことのなくなった巨木は、神社の森の中でひっそりと
   その役目を終えたかのようです。


   (終わり)



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