■■■ baby03  夜をつけよう ■■■




vol-52
   本のタイトル: 夜をつけよう   夜をつけよう
   レイ・ブラッドベリ/作
   レオ&&ダイアン・ディロン/絵
   今江祥智/訳
   BL出版
   対象年齢 : 5歳〜100歳以上


   レイ・ブラッドベリは「火星年代記」(早川書房)などの作品で知られる
   日本でも人気のSF作家。
   ディロン夫妻は、「どうしてカはみみのそばでぶんぶんいうの」(ほるぷ出版)
   「絵本アフリカの人びと」(偕成社)の2作品で、コールデコット賞を受賞した
   挿絵画家。
   そして、訳は、児童文学作家の今江祥智。
   絵も文も訳も、申し分ない組み合わせです。

   「夜をつけよう」という題に、はじめ夜を貼り付けるイメージを持ったのですが
   「夜を点ける」、「夜のスイッチを点ける」という意味でした。
   それにしても、「夜を点ける」とは、普段使わない言葉です。
   タイトルから興味をそそります。

   主人公は、夜が嫌い、暗闇が怖いという男の子。
   ある日、ダークという名の妖精のような女の子が現れて、
   男の子に、夜の話をはじめます。

   「夜はつけたり、消したりできるのよ。夜をつけるということは
   コオロギをつけること、カエルをつけること、星をつけること、月をつけること・・・・」

   男の子は、夜をつけ、星をつけ、月をつけてみる。
   すると、どの部屋にも夜が息づいていた。
   男の子は、楽しくなって、だんだんと夜が好きになっていく・・という物語です。

   本の半分は、光のあふれた昼間と明りにあふれた夜を表す白背景、
   もう半分は、明りを消した夜の暗闇を表す黒背景です。
   黒背景の夜の場面では、薄く美しく光る様々な色が、絵の中でまたたいています。
   そして、白抜き文字で書かれた文章が、センスよく配列されています。

   それに、文がとても読みやすく、心にするすると入っていきます。
   さすがに、子どもの作品をたくさん書かれている今江祥智さんの訳、

   子どもの心に入り込みやすい文章で、語る人にもやさしい文章です。

   夜の世界がこんなに素敵だったなんて、読者も、心のスイッチがオンになります。

   心を自由にして、スイッチをオンにするだけで、
   どんな世界も、素敵な世界に変貌するかもしれない。

   そうして、周りを見てみると、自然なものも、人工的なものも
   無駄なものなどひとつもなく、全ての何もかもが、いとおしく思えてきました。


   (終わり)



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