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vol-35
本のタイトル: よるくま 作:酒井駒子 出版 : 偕成社 対象年齢: 4歳から100歳まで この絵本は、全編会話形式です。 それがまた、やさしい語り口となっています。 「ママ、あのね」と眠れない男の子が、ママに話しかけます。 「きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこがきたんだよ。」と 男の子は、ママに話し始めます。 ママはやさしく聞きます。「どんなこが きたのかな? おとこのこ かしら おんなのこ かな」 「ううん、くまのこ」 こうして、男の子の「よるくま」ちゃんの話がはじまります。 よるくまちゃんは、いなくなったママを探していたのです。 男の子は、一緒に探してあげます。 夜の街を探すふたりの姿は幻想的に描かれています。 いなくなったよるくまのママは仕事をしていたのです。 たぶん、男の子のママも昼間働いているのでしょう。 でも、男の子のママは、ごはんも作ってくれるし、何か買ってくれるし そして何より「あったかいねぇ」とだっこしてくれるのです。 この絵本は、働くママと、それを淋しいながらも理解する子どもへの 応援メッセージを届けているように思います。 大きな大きなお母さんの愛情につつまれて、男の子はきょうも 眠りにつきます。 明日の朝には、また親子のしばしの別れが起きたとしても 静かな夜と、眠りがすべてのことを忘れさせてくれることでしょう。 (終わり) |