■■■ baby03  わたしの きもちをきいて(2)手紙 ■■■




vol-34
   本のタイトル: わたしの きもちをきいて(2)手紙

   作:ガブリエル・バンサン
   訳:もり ひさし
   出版 : BL出版
   対象年齢: 5歳から100歳まで



   この絵本にまずひかれたのは、ガブリエル・バンサンの線描と水彩の絵です。

   バンサンは「アンジュール−ある犬の物語」でデビュー。
   白黒で描かれた、迷い犬の悲しい瞳に、こころひかれた方も多いかと
   思います。

   デッサンを中心に美術の勉学をしたというバンサンの出現で、
   絵本の世界が、また広がりました。

   この絵本には、一話もあり、少し大人になりつつある少女が、
   家庭になじめず、ママやパパも「わたしの気持ちをわかってくれない」と
   森へ家出する物語です。

   二話は、自分の気持ちを伝えようと、ママとパパあてに手紙を書くと
   いうストーリーです。

   少女はある荒れ果てたお屋敷の庭に行き、手紙を書きます。
   手紙を書いている最中、誰もいないと思っていたお屋敷に人影が見えます。
   びっくりして逃げ出してしまう少女。

   次の日、お屋敷の住人からの、少女あての手紙をみつけます。
   お屋敷の住人は、そっと少女を見守っていました。
   「宿題はテーブルでどうぞ」と手紙には、書いてありました。
   手紙は、少女の気持ちをリラックスしてくれます。
   少女は、自分の気持ちを綴った手紙を書き終えます。

   -----------------------◇----◇----◇-------------------------

   小さかった時のように、手放しで甘えることのできなくなった少女。

   大人になることを期待しすぎて、少女との対応にとまどっている両親。

   もう少し大人になれば、この過渡期を過ごした時のことも忘れてしまいそうな
   小さなできごと、手紙さえも忘れてしまうかもしれません。

   手紙はその時々の一番大切な気持ちを、一番大切な人に届けるものだと
   思います。手紙には嘘は書けません。

   そして、出した人よりも、もらった人の心に残るものではないでしょうか。


   引き出しにしまった便箋とペンを出してみても、さて、自分の気持ちを
   素直に書き溜めることのできた、少女時代にもどることは、むずかしそうです。


   (終わり)



<< 一覧へもどる  << 絵本古本マーケットはっぴぃ  << SHOP