■■■ baby03  せかい一わるいかいじゅう ■■■

vol-31
   本のタイトル: せかい一わるいかいじゅう

    「大人の理屈は通用しない」

   作: パット・ハッチンス
   訳: 乾侑美子
   出版社: 偕成社
   対象年齢: 4歳から100歳まで


    「この世に存在する美しいものと醜いもの、もしこの世が醜いものだけだったら
   それは、醜いものでなくなる。反対に美しいものだけだったら、それはもう
   美しいものでなくなる。」
   (子どもとファンタジー/守谷慶子・著/新曜社より引用)

   子どもは、大人と違い、醜いもの、汚いものにも、美しさや共感を感じる感性を
   持っています。

   大人にいつも支配されている子どもたちは、潜在的に、自分は不完全な存在と
   いう認識を持っていて、絶対的な完全なものよりも、むしろ不完全なものへ
   愛着を示すように感じます。



   かいじゅうのヘイゼルの家に、弟のビリーが生まれました。
   家族のみんなは、ビリーが「せかい一わるいかいじゅうになる」と
   言ってばかり、ヘイゼルにかまってくれません。

   とうとうヘイゼルは、ビリーをよそのひとにあげて、
   自分が、「せかい一わるいかいじゅう」と家族に認めさせました。

   かいじゅうの国では、「わるい」ことは、「良い」こと。
   人間の価値とは、逆転の世界でお話しがすすんでいくところが
   この絵本のおもしろさです。

   子どもはヘイゼルの気持ちをすんなり理解することでしょう。
   かいじゅうの醜い姿にかえて、
          「わるい」ことが「良い」ことに変わったとしても

   ものごとの本質は何も変わらないと
                 このお話しは、語りかけてくれます。

   そんな、大人の理屈もふきとばして、明快に楽しませてくれるのが
   この絵本の魅力でしょうか。

   (終わり)



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