■■■ baby03  はじめてのゆき ■■■

vol-26
   本のタイトル: 「はじめてのゆき」

   「絵本の中にしか存在しない世界」
   作: なかがわ りえこ
   訳: なかがわ そうや
   出版社: 福音館
   対象年齢: 3歳から100歳まで


   線画の耳と胴体、黄色く塗りつぶされた手と足、それにしっぽ。
   黒の縞々少々、ひげ3本、赤い鼻、最後にまん丸の目。

   さあ、虎の子、とらたが動き出した。

   絵本の中には、とらたの線描の世界があり、それはどうかすると
   異空間のようにも見える。

   はじまりは、こう。

   あさです。
   とらのことらたは、あつい みるくを のみました。
   「あれ?」

   唐突にとらたの世界は始動する。

   とらたは、はじめて、雪と雪だるまに出会う。
   でも、それはなんだか違う。
   雪も空も雪だるまも、とらたの世界のものだ。

   そして、まぶしい青空とともに雪や雪だるまとの別れ。
   「さようなら」と、とらたは言う。

   終わりは、こう。

   とらたは うちへ かえり、
   ゆきだらけのせーたーと てぶくろと ぼうしをぬいで
   すとーぶでかわかしました

   とらたは、一方的に物語を終わらせる。

   「またね」なんて媚びなんかうらない。

   とらたの世界は確かに存在すると思う。絵本の中だけに。
   だからまた、決して忘れることなく、線描の異空間に
   入ってみたくなるだと思う。

   (終わり)



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