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vol-22
本のタイトル: クリスマス・イブ 作: マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵: ベニ モントレソール 訳: 矢川 澄子 出版社: ほるぷ出版 対象年齢: 3歳から100歳まで *-・-・-*-・・--*-・-・-*・-*-・-・-*-・-*-・-・-*・-・-*-・-・-*-・ この本は、マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作です。 イタリアの舞台デザイナーでもある、ベニ モントレソールが、その遺稿に 絵を描いて、出版された絵本です。 「クリスマス・イブ」のお話が、遺作だなんて、画期的な絵本製作に人生を ささげた、マーガレット・ワイズ・ブラウンらしい、エピソードですね。 この美しい絵本を、世界中のこども達に届けることが、 ワイズ・ブラウンの最後の最高の仕事になったことは、クリスマスの 不思議なお話のような気がします。 *-・-・-*-・・--*-・-・-*・-*-・-・-*-・-*-・-・-*・-・-*-・-・-*-・ しずかな、クリスマス・イブの夜。 夜更けになっても、眠れない兄弟たちは、子ども部屋をこっそり抜け出し 階下に探検に出かけます。 そこで子ども達が体験した、幻想的なひとコマ、ひとコマ。 オレンジ色のベース色は、あたたかな暖炉の光でしょうか。 「聖歌」の歌声も、絵本からしずかに流れてくるようです。 子ども達は、声をあげることもなく、目と耳と心で、美しくしずかに更ける 夜を体験します。それは、誰にでも思いを馳せることのできる クリスマス・イブのデジャブーのひとコマのようです。 会話がひとつもなく、淡々と綴られた文章。 しずかに更けていくこの聖なる夜の、子ども達だけの、秘密の体験を、 読者も一緒になって、心の目と耳で体験できることでしょう。 そして、いつしかこの物語が、確かな記憶となって、心の中の クリスマス・イブの風景のひとつとなることに違いありません。 (終わり) |